当社は生産と研究に利用できる最大3反応室搭載可能なマルチチャンバープラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)装置『PD-2203LC』を開発、販売を開始します。
当社は1979年の創業以来、独自性と実用性を兼ね備えたプラズマCVD(化学気相成長:Chemical Vapor Deposition)装置とプロセス技術を提供してまいりました。規格製品第1号は1980年7月に開発したプラズマCVD装置でした。また、アモルファスシリコンpin接合型太陽電池用に開発した3室分離型プラズマCVD装置は、インライン式ではなく回転式にすることでコンパクトかつコストを抑えた画期的な装置でした。近年は、2周波を用いた膜応力制御やVHF(超短波:Very High Frequency)帯の周波数の採用など新たなCVD装置を開発し販売しております。
今回販売を開始するマルチチャンバープラズマCVD装置『PD-2203LC』は実績豊富なCVD装置『PD-220NL』の反応室(Reaction Chamber: RC)を3つ備えた装置です。真空カセット室と大気カセット室が選択可能で、ウエハー直接搬送の場合は真空カセットを、トレイ搬送の場合はプロセス後大気中で放熱が促進されるため大気カセットを推奨しています。研究用途としては、それぞれの反応室で異なる膜種の成膜を実施することで、コンタミなどの影響を抑制できます。生産用途においては、同じ膜種を3つの反応室で同時処理することで、1カセットあたりのタクトタイムを短縮することが可能です。
プラズマCVD装置は、急速に成長しているSiC/GaNパワーデバイス市場向けに、ゲート絶縁膜やパッシベーション膜、またフォトニックデバイス向けの反射防止膜など、多岐にわたる応用分野に展開されております。今後も市場の拡大が期待されます。当社は原料にSiH4だけでなく、液体原料のTEOSやSN-2™を用いてSiO2やSiNを成膜することができます。13.56 MHzと400 kHzを重畳する2周波プロセスは、400kHzによるイオン性の成膜を活かすことで優れた応力制御性を有します。また13.56 MHzではなく、より高い周波帯(VHF帯)である27、40、60 MHzのいずれかを用いることで高密度なプラズマを生成し、成膜レートの高速化およびラジカルの反応性を活かしたプロセスが可能です。
当社の経営理念である「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」に基づき、今後も科学技術、産業技術の発展に貢献できるよう、新たな装置およびプロセス開発を継続してまいります。
写真1: マルチチャンバープラズマCVD装置『PD-2203LC』
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