当社は、北海道大学のナノテクノロジー連携研究推進室※1が実施する文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業（以下、ARIM）※2推進に必要となるALD（Atomic Layer Deposition, 原子層堆積）※3装置を納入いたしました。マテリアル先端リサーチインフラ事業は、ナノデバイス、バイオテクノロジー等の先端マテリアル研究開発において、装置共用を通じて最先端の研究開発支援・技術相談サービスを提供ならびにデジタルトランスフォーメーション（DX）に対応したデータ収集・利活用を推進する事業です。北海道大学のナノテク連携推進室長の松尾 保孝 教授には、当社の高い技術力とサポート体制をご評価いただき、本事業で重要な役割を果たす機能を有しているとのことで、当社ALD装置をご選定いただきました。
今回、ARIMの共用設備として納入したプラズマALD装置（型式AD-230LP-H）は、効率的な反応室構造を採用し、ピンホールフリーの緻密な成膜を実現しております。熱ALDに加え、独自のICPソースを用いたプラズマALD方式を採用しており、Al2O3 、HfO2やSiO2 といった酸化膜を中心に、窒化膜や金属膜など多様な膜種を成膜できます。
ナノテク連携推進室長 松尾 保孝 教授とプラズマALD装置（型式：AD-230LP-H）
北海道大学 ナノテクノロジープラットフォームにて撮影
■装置概要
型 式：AD-230LP-H
サイズ：850 mm (Ｗ)×2,450 mm (Ｄ)×2,000 mm (Ｈ)
対応試料サイズ：最大ø8インチ（ø230 mmトレイ搬送）
フランスの調査会社Yole Development社によれば、ALD装置市場は、2020年に約400億円(＄345 Million）の市場規模で、2026年まで年平均12%の成長が期待されています。当社は、2015年にALD装置を開発してから、企業以外にも産業技術総合研究所や物質材料研究機構といった世界最先端の研究機関に多数の実績を積み重ねてきました。今後は、ALD専任チームを組織し、これまで以上に技術開発に注力することで、電子デバイスの生産機市場だけでなく、医療ヘルスケアなどの新規市場開拓を行ってまいります。
当社は、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」の経営理念の下、事業を通して最先端分野の研究開発の進展、そして、よりよい社会の創出に貢献します。
※1 北海道大学 ナノテクノロジー連携研究推進室
北海道大学内外向けに微細加工、微細構造解析に関する装置、技術提供を行っているオープンラボラトリー。「光・電子・スピンを制御する新規ナノデバイス創製、バイオテクノロジーや新規マテリアル開発といったナノテクノロジーにより先端研究を加速することが可能な分野への微細加工支援を行います。高精度加工装置群と独自の加工技術に研究者の経験と熱意を結びつけ、最先端の研究開発支援・技術相談サービスを提供します。学内2ヶ所のクリーンルームを開放し、リソグラフィー・成膜・エッチングなどの装置群を組み合わせて最適なデバイス作製を行うと共に、装置講習などを通じて人材育成も努めることで我が国の新しい技術・産業創出への支援を行っていきます。（北海道大学 創成研究機構HPより）」
※２ 文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業
2021年度からスタートしたマテリアル先端リサーチインフラは、2012年度から10年にわたり実施してきた「ナノテクノロジープラットフォーム」により培った基盤を十分に活かしつつ、全国25の大学・研究機関が参画して様々なマテリアル研究開発の重量領域に強みを持つ最先端装置の共用、高度専門技術者による技術支援に加え、新たにリモート・自動化・ハイスループット対応型の先端設備を導入し、装置利用に伴い創出されるマテリアルデータを、利活用しやすいよう構造化した上で提供する事業。
（https://www.nanonet.go.jp/pages/arim/index.html）
※３ALD（Atomic Layer Deposition, 原子層堆積）
気相成膜技術の一つ。基板上に原料の供給と余剰原料のパージを繰り返すことで原子層一層ずつを成膜する手法。例えば、酸化膜や窒化膜の成膜において、原料ガスが表面反応により一層形成され成長が止まる自己停止機能により、一層ごとの膜形成を繰り返すLayer by layerの成膜が可能。高アスペクト比の構造への成膜や膜厚制御性に優れる。
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広報・IR室 土橋 篤志
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