ニュースリリース

2018年

2018年04月19日

マイクロ流体チップの接合に革新的なソリューションを提案

~¹COPをはじめとする樹脂材料やガラスを常温で接合する新技術を考案~




 当社は、マイクロ流体チップの材料に用いられるCOP(シクロオレフィンポリマー)とガラスを常温で接合する技術を開発しました。

 高齢化が進む社会で、QOL(Quality of Life:生活の質)を維持する重要性は高まってきています。そのためには、日常的に自分の健康状態を診断し、体の異変を早い段階でとらえる必要があります。マイクロ流体チップは、安価で簡便に体の異変を検知することが可能であるため、今、注目を集めています。

 COPは優れた光学的性質と金型などでパターン形成が可能なことから、マイクロ流体チップの材料として用いられています。しかし、疎水性であるため、濡れ性や接着性が低く、接合するためには、VUV(真空紫外線)の照射に加えて加熱を必要としていました。これにより、「VUVによりCOPが黄変する」、「加熱により流路が疎水性になる」といった課題がありました。

 当社は、2016年に開発した「Aqua Plasma®」を用いて、COPとガラスを加熱することなく、常温で接合することに成功しました。COPとガラスの表面を親水化することで、従来手法より容易に接合することができるようになります。また、流路内も親水化できるため、検査する液体の流れがスムーズになります。接合強度試験(JIS K 6856)を行ったところ、1 N/cm² 以上の接合強度で母材破壊に至りました。これはCOPなどのオレフィン系樹脂を用いたマイクロ流体チップを作る非常に大きなブレークスルーと言えます。




¹COP...シクロオレフィンポリマー。光学特性に優れ、自家蛍光はガラスに匹敵するほど低い。熱可塑性樹脂であり、金型などでの射出成型が可能。マイクロ流体チップの材料として期待されています。




関連リンク

Aqua Plasma®の専用装置「AQ-2000」

テクニカルレポート「Aqua Plasma® によるマイクロ流体チップの常温接合」

【動画】Aqua Plasma®によるCOPとガラスの常温接合