当社は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems = 微小電気機械素子)や3次元LSIのTSV(Through Silicon Via = シリコン貫通電極)の加工向けの本格量産用シリコンディープエッチング装置の新製品『Model:RIE-800iPBC』を開発、12月4日から幕張メッセで開催される世界最大規模の半導体製造装置、材料等の展示会『セミコン・ジャパン2013』で紹介する。
このたび開発した『RIE-800iPBC』は、信頼性が高く評価されている研究/セミ量産用『RIE-800iPB』に真空カセット室とアライメント室を加えた本格量産用装置である。『RIE-800iPB』と同様に8インチウエハーまでに対応しており、エッチングレート50μm/min以上、均一性±3%以下を実現し、低スカロップ加工やSOI(Silicon on Insulator)基板加工のノッチフリープロセスが可能である。量産用装置としてメンテナンス性に優れた設計になっており、反応室内部材の取り出しと交換を容易に行え、高周波電源やターボ分子ポンプの交換を安全に行えるようにしている。
各種センサー類やインクジェットヘッドなど高速シリコンエッチングを用いるMEMSの応用領域は広がっており、TSV市場の本格的な立ち上がりや医療分野への展開により市場は急拡大が見込まれている。サムコは、化合物半導体分野に続きMEMS分野でもエッチング装置のリーディングカンパニーを狙い、本年8月には開発部内に『MEMSプロジェクト』を立ち上げている。同プロジェクトが『RIE-800iPBC』の開発業務を担当してきたが、装置のさらなる性能向上を図るとともに営業技術面での販売支援も積極的に行っていく。MEMS向け製品では、絶縁膜形成用プラズマCVD装置は研究開発専用装置から本格量産用装置まで既に取り揃えラインナップ化が完成しているが、高速シリコンディープエッチング装置においても、このたびラインアップ化が完成することとなる。
さらに、当社は本年8月にスタートした3ヵ年の中期経営計画において『新規事業の創造と収益化』を重点課題の一つに掲げており、その中核にMEMS分野事業の応用、展開を位置付けている。『MEMSプロジェクト』では、本年4月に移転拡充した米国シリコンバレーの当社オプトフィルムス研究所との連携により、MEMSを医療やヘスルケア、スポーツ医学などの分野に展開し、さらにデータ通信手段としてのスマートフォンやタブレットPCなどとこれらを結んで一層の応用分野の拡大を図っていく。