サステナビリティ(Sustainability)とは、広く環境・社会・経済の3つの観点からこの世の中を持続可能にしていくという考え方のことを言います。

当社は、会社の基本方針において、「企業の永続的な発展を追求し、適正な利益を確保することにより、企業を取巻く利害関係者と共に成長する企業を目指して、薄膜技術で世界の産業科学に貢献する。」を経営理念とし、
 ① 社員の創造性を重視し、常に独創的な薄膜技術を世界の市場に送る。
 ② 直販体制を採用し、ユーザーニーズに対応した製品をタイムリーに提供する。
 ③ 事業が社会に果たす役割を積極的に認識し、高い付加価値を目標とし、株主、取引先、役員、従業員に対し、適切な成果の配分をする。
を経営方針に掲げ、サステナブルな企業価値創造を目指し事業を展開しております。

顧客価値の創造

当社では顧客のさまざまな要望に応え、信頼され選ばれる会社であり続けられるよう、高品質な製品・サービスの開発・提供はもちろん、顧客とのコミュニケーションを大切に顧客視点に立った提案活動を実施しております。直販体制を採用し、製品をただ市場へ提供するだけではなく、競合他社と差別化できるハード面、豊富なプロセスレシピを有するソフト面、アフターサービスやメンテナンスといったサービス面を常に充実させ、顧客ニーズに即したきめ細やかな対応に努めております。
また、顧客からのクレームに迅速かつ誠実に対応し、日頃よりその情報を整理、活用し、製品開発やサービスの向上につなげております。

取引先価値の創造

当社は、ともにビジネスを行うパートナーである取引先との関係を大切にしております。法令を遵守し、誠実かつ公正な対応を心がけ、当社だけではなく取引先とともに成長するという姿勢を貫くことが取引先にとっての価値を高めることになると考えております。

社会価値の創造

東日本大震災の復旧ボランティア
(2011.4.30 岩手県陸前高田市)

長年の寄附や義捐金活動に対して
日本赤十字より紺綬褒章を受賞(2023.2.10)

当社は地球環境に配慮した事業活動を通じ、環境負荷軽減に取り組んでおります。事業分野としては、省エネ・脱炭素を支える次世代パワーデバイスやLEDなどのグリーンデバイス分野に注力しており、独創的なプロセスソリューションを提供することで低炭素社会の実現に貢献しております。

また、生産活動においては、「環境方針」および「サムコグリーン調達ガイドライン」を定め、グリーン調達や製品の省エネルギー化に努めております。

社会の健全な発展と快適で安全・安心な生活に資する社会貢献活動にも積極的に取り組んでおり、毎年、利益の一部を日本赤十字社に寄付しております。東日本大震災や熊本地震やでは復旧のためのボランティアを派遣し、その他にはネパール地震やトルコ・シリア地震等の国内外の大災害への義援金、ウクライナ人道危機救援金の送付なども行っております。

環境方針

サムコは、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」を経営理念とする一方、「環境保全」を重視し、産業と環境の両面で社会貢献に努めます。

  1. 1) 環境方針の周知徹底
    環境方針を全社員に周知します。また、協力会社へも周知し、理解と協力を要請します。
  2. 2) 環境教育を推進し、全社員の環境意識の向上を図ります。
  3. 3) 環境関連法規の遵守
    法規制、条例およびその他の要求事項を遵守します。
  4. 4) 環境重視の製品開発
    環境に調和するプロセス開発に取り組むとともに、それを活かした製品においては、製造から廃棄に至るまでを考慮した環境負荷軽減型の製品開発に努めます。
  5. 5) グリーン調達
    調達する原材料、部品について、環境影響を考慮するよう調達先に働きかけます。
  6. 6) 環境負荷の軽減
    エネルギーの効率的な利用および3R(リデュース・リユース・リサイクル)に積極的に取り組み、環境負荷の軽減に努めます。
  7. 7) 全てのサムコ製品は省エネルギー、省スペースを基本に製造・販売を行い、環境負荷の軽減に努めます。

株主価値の創造

当社は適切な水準の配当と中長期的な企業価値の向上に取り組むとともに、株主様とのコミュニケーションの強化に努めております。

1. 株主還元・配当金

当社は株主の皆様への利益還元を経営の重点政策として位置付けております。経営体質の強化と研究開発のための設備投資等のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続する基本方針のもと余剰資金につきましては業績連動的な配当の考え方を合わせて取り入れております。
期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、期末配当につきましては株主総会にて決定しております。
中間配当につきましては、「取締役会の決議により、毎年1月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。中間配当については、年間を通じての出荷平準化の取組により第2四半期累計期間での利益確保を前提に早期の実施を目指しております。

2. 情報開示

当社は株主・投資家の皆様に対して、公平かつ適時に情報開示を行うことを基本に、各種法令・規則により求められる事項だけでなく、当社への理解を深めていただくために役立つと思われる情報をホームページ等を通じて幅広く発信するよう努めております。今後も開示内容の充実、よりタイムリーな情報発信の実施に継続的に取り組んでまいります。

3. 開かれた株主総会

当社は設立時から7月決算を採用することで株主総会の集中日を回避しており、参加しやすく開かれた株主総会を目指しております。また、株主総会の活性化を図るため、開催日3週間前の招集通知の早期発送を進めております。




従業員価値の創造

当社にとって最大の資産は人材です。当社の人材がより高いレベルに成長していくことと、新たに優秀な人材に加わってもらうことが、当社の企業価値を決定し、成長の原動力となります。当社は社員の育成に当たり、その行動指針として“勇気・創造・勤勉”を掲げ、創業者である辻理会長の人材育成、登用についての考え方を集約した「人材育成方針」と、それを達成するための「社内環境整備方針」のもと体制・社内環境を整備し、その実践により経営理念の実現を図っております。


<行動指針>

当社は行動指針として“勇気・創造・勤勉”を掲げております。

「勇気」とは、前向きな気持ちで積極的に仕事に取り組む姿勢です。失敗を恐れず、自発的にチャレンジする気持ちを大切にしています。
「創造」とは、知恵と知識を生かして世の中にないモノや仕組みを生み出す力です。創造はその大小を問いません。毎日の小さな創造が、将来予測の困難な時代を生き抜く大きな力になります。
「勤勉」とは、不断の努力を惜しまない実直に学び続ける姿勢です。世の中にないものを生み出すには、世の中にあるものを知らないといけません。そのためには、常に学び続ける姿勢が必要です。

<人材育成方針>


階層別の教育訓練制度
(部長塾、課長塾、成長塾)

1.仕事は楽しく、面白くあるべきである。一所懸命に楽しく仕事をして、かつ面白い。そして良い結果がついてくる。そんな楽しく、面白い日々が日常である会社とする。
2.“学ぶ”を忘れない。学ぶことを常に念頭に置き、長きに渡り己を磨くことで自らの価値を高めてほしい。特に若手社員は30代までに能力向上に勤しむ癖をつけなければならない。
3.リスキリングにより第一線で活躍できるスキルを身に付けることにより、70歳まで働ける企業としていく。シニア社員が十分社会貢献できるよう再教育することを会社の使命と考える。
4.外国籍社員の採用を増やし、若手社員の海外経験を増やすことによりグローバル人材の育成を図る。
5.階層別の教育訓練制度(部長塾、課長塾、成長塾)を発展的に継続し、多角的な視野で経営管理できる人材の育成を図る。
6.たえず組織の新陳代謝を図り、新たな細胞(多様な人材)を積極的に登用していく。人事異動は社員の層を厚くし、組織を重層化する目的もあり、新たな能力の開拓につなげる。女性社員も大きな戦力として、管理職で活躍をしてもらえるように環境を整備する。

<社内環境整備方針>

1.法令を遵守し、職場環境の整備や公平な評価・処遇をはじめとする十分な対応を行う。
2.従業員が自己実現の場と感じることができるよう、安全で働きやすい職場環境の整備に努める。
3.育児や介護等に係る休暇制度とともに復職後も状況に応じた勤務形態を利用することができるように整備する。

<女性活躍推進法に基づく行動計画及び数値目標>

女性の技術職を増やし、女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、次の行動計画を策定した。

〇計画策定理由
日本では女性の理工系人材が少なく、技術職の多い当社の従業員全体に占める割合は12.6%(183名中23名)と小さいのが現状です。近年、政府の後押しもあり、理工系等を専攻する女子学生の増加を目標として掲げている大学や高等専門学校が増加しており、今後理系女子学生の数は着実に増加していくものと考えます。当社としては、理系女子学生の採用活動を強化すること等によりその活躍の場を提供し、当社の企業価値を高めるとともに、女性が活躍できる社会づくりに貢献していきたいと考えます。

〇計画期間
2022年8月1日 ~ 2027年7月31日

〇目標
採用した労働者に占める女性労働者の割合を30%以上とする。

〇取組内容、実施時期

1.HP等の媒体にて、女性技術職社員の活躍をPRする。
2.新卒採用における理系女子応募者の裾の拡大のため、大学の理系学部、及び高等専門学校の女子学生への多面的なアプローチを実施する。
3.インターンシップ実施について、受入人数の半数以上を女性にする。
4.女性社員にヒアリングを実施し、職場環境の課題を調査し、女性が活躍できる職場環境の改善を行う。

なお、第45期(2023年8月~2024年7月)期間中に採用した労働者に占める女性労働者の割合は20.0%でした。また、目標達成に向けて以下の取組を行いました。
1.2024年6月3日の産業経済紙面にて当社の女性技術職社員の活躍を紹介した。
2.育児短時間勤務規程について、対象者を3歳までの子を養育する従業員から、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員に変更した。
3.長時間労働の削減に取り組み、時間外労働勤務時間が前期比約9%削減した。

また、上記以外の取組に対する目標設定や進捗状況の開示につきましては、今後の課題として検討中であります。

気候変動への対応(TCFD宣言に基づく情報開示)

ガバナンス

サムコの“薄膜技術”は省エネ・脱炭素を支えるLED、次世代パワーデバイスなどを支えています。
創業以来「企業の永続的な発展を追求し、適正な利益を確保することにより、企業を取巻く利害関係者と共に成長する企業を目指して、薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」ことを経営理念に掲げて、社会への貢献に重きを置いてきました。
2006年6月には「環境方針」を制定し、自社の活動・製品の環境への負荷軽減と環境保全活動に向けて積極的かつ継続的に取り組んでおります。
更に、気候変動に係るリスク及び機会・自社の事業活動や収益に与える影響について評価・分析し更なる環境負荷低減を進めるべく、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」を2022年8月に設置いたしました。
取締役会は同委員会の活動報告を受けて、当社の気候変動に関するリスク・機会及びこれらに対する対策の状況を把握し、これによる財務への影響や中長期経営計画への影響、更なる環境負荷低減への取り組み等に対する検討を行っております。



戦略

気候変動シナリオ分析の結果、当社の事業は財務全体として大きなマイナスインパクトは現れないと予測いたしました。電気自動車等省電力ニーズの高まりによる、パワー半導体需要の増加が当社の事業にとっては機会として伸びると分析しております。当社のコア技術である最先端の“薄膜技術”をベースに最先端の製造装置を世界中の製造現場や研究者へ提供し、省エネ、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
また、当社の薄膜技術は半導体製品のみならず生活の身近な製品にも利用されています。例えば、1994年にはプラスチックボトルにDLC(Diamond Like Carbon)薄膜をコーティングする基礎技術を、麒麟麦酒株式会社(現:キリンホールディングス株式会社)と当社が共同で開発し、特許を取得いたしました。この技術により、軽量・低コストの容器開発が実現し、輸送コストの削減等を通じ環境対策に貢献しております。
このような環境下、当社製品・技術をお客さまより選んでいただけるよう、製造装置自身の省エネ化を進めてまいります。
 現状の主な取り組みテーマは以下の通りです。

・製品容積の減少 半導体製造装置の製造現場では、多大な電力を要するクリーンルームでの効率的な装置配置が不可欠です。そのためには、フットプリントの削減が重要なポイントとなります。更に小さなサイズの装置とすることで納品時における移送コストの削減を行うことができます。
・消費エネルギーの削減 より少ない電力消費で当社装置を稼働できるよう省電力が可能となる部品の選択や構成の見直しなどを恒常的に行ってまいります。
・会社が排出する温室効果ガスの排出量削減 当社の業務活動における電力消費及び研究開発に使用する温室効果ガス(フッ素系ガス)の排出量削減を目指した取り組みを行ってまいります。
・グリーン調達 当社では、環境に配慮した原材料・部品を優先的に調達するグリーン調達を、調達先企業と協力して推進しております。
・廃棄物の削減 事業活動に伴い排出される廃棄物の量の削減・リサイクル製品の利用促進に継続的に取り組んでおります。

リスク管理

「ESG委員会」において、省エネに関する社内各部署の取り組みや、各建屋別の電力データを毎期測定し、電力使用量・CO2排出量の推移をモニタリングし、削減策の検討・社内各部署への指示などを実施いたします。
今後、当該リスクにかかる影響を把握・分析するとともに、統合的リスク管理の枠組みにおける管理態勢の構築を検討してまいります。

指標及び目標(会社が排出する温室効果ガスの排出量削減)

当社第45期(2024年7月期)の温室効果ガスの排出量(*)は828トン(前期比158トン増)・売上高(億円当たり)の排出量は、10.1トン(前年比1.5トン増)でした。前年比増加の要因は、電力消費(kWh)が前期比10%増加したこと、及び電力事業者のCO2排出係数が増加したことによります。
なお、目標数値については、前年度実績の100%以下としております。
また、温室効果ガスの排出量削減以外の取組に対する目標設定や進捗状況の開示につきましては、今後の課題として検討中であります。
(*)当社京都地域における生産・研究開発・営業活動に係る電力消費のCO2排出換算量及び研究開発に使用するフッ素系ガスの合算量