真空とは
真空容器が大気から受ける力
反応室のことを頑丈な容器と表現しましたが、どのくらい頑丈なのでしょうか。大気圧は1 atm = 101,325 Pa = 1 kgf/cm2(重量キログラム/平方センチメートル)となります。サムコ㈱製PC-1100という装置の反応室の面は約50 cm×50 cmの面積ですが、中を真空にした場合、約2500 kgの力がかかっている計算になります。メス象の体重が約2000 ~ 3000 kgですので、それと同じくらいの力が反応室の面にかかっていると言えます。こういった力がかかっても壊れないよう、反応室はアルミやステンレスを用いて頑丈に作られています。
<単位の話>
上記では説明しやすいようにkgf(重量キログラム)という単位が出てきました。しかし、これは重さを表す国際単位系(SI)ではありません。現在重さを表す単位は、N(ニュートン)です。1Nは約100 gの物体にはたらく重力の大きさであり、1 kgf = 9.8 Nとなります。
また、現在圧力を表す国際単位はPa(パスカル)ですが、メートル法に基づいた圧力の単位としてTorr(トル)があります。標準大気圧の1/760という定義があり、1 Torr = 約133.322 Paとなります。
国際単位でないkgfとTorrでも、世代や国によっては今も使われる方もいるため、知っておいた方がいい単位と言えます。換算レートなども覚えておくと有効です。