真空とは
真空の必要性
なぜ半導体製造装置に真空が必要なのでしょうか。その前提として、すべての半導体製造装置に真空が必要なのではなく、「プラズマ」を用いる装置で必要とされることが多いと考えてください。→プラズマについてはこちら
•当社の低圧プラズマ装置(真空にした石英製の容器に高周波を印加しプラズマを起こしています)
[1]プラズマを発生させるため
プラズマを発生させることで、比較的気体の温度が低い状態で、電子やイオンを用いた様々な反応を容易に起こすことができます。その中で、プラズマを発生させる装置は2種類に大別できます。
真空を用いる低圧プラズマ装置 |
真空を用いない大気圧プラズマ装置 |
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構造・コスト |
真空ポンプが必要 真空に耐えうる強度の反応室が必要 |
真空ポンプ、真空に対応した反応室は必要ないため、簡素で安価 |
印加電力(W) |
小さい |
大きい |
圧力域(p) |
低圧(10-3~103 Pa) |
大気圧(101,325 Pa) |
電極間隔(d) |
ある程度離すことができる 電極構造を変えやすい |
短くする必要がある(数 mm以下) 電極構造が制約される |
温度(℃) |
常温~数百℃ |
1000℃以上 ※温度低下の方法例:パルス電源等 |
[2]反応の質をよくするため
真空が必要なもう一つの理由は、反応室中の微小な不純物を減少させ、必要な反応だけ起こさせるためです。大気中には窒素、酸素、水素等様々な気体が混ざっていて、目的の反応を起こすことが難しくなります。微小な不純物の少ない真空中にガスを流すことで、目的の材料を成膜したり、加工したりすることができます。
[3]目的の物質を蒸発しやすくするため(蒸気圧を上げるため)
物質は圧力が低いと沸点が低くなります。沸点が低いとは、つまり高温でなくても蒸発しやすいということです。水は大気圧下では100℃を超えると蒸発して水蒸気になりますが、低圧下であれば沸点は下がり100℃以下で沸騰します。反応室を真空にするとこれと同じことが起きます。目的の物質を比較的低温で蒸発させることも真空のメリットの一つです。